ザウルス用シリアルポート変換ケーブルの作成


注意:このページで紹介している ケーブルでは、ザウルスとRS-232C機器との間で信号の電圧レベルを合わせていないため、周辺機器によっては、接続するとザウルス本体および周辺機器 を破壊するおそれがあります。試される場合は、あくまで自己責任でお願いいたします。

ザウルスのシリアルポート

ザウルスにはオプションポート16という外部機器接続用のポートが用意されています。 このポートは基本的にはパソコンで使われるシリアルポートと同じで、 そこにザウルス用の拡張(電源ラインなど)を施した物になっています。
しかし、残念なことに、ボックスモデムのようなシリアル接続機器をザウルスに接続するための変換ケーブルという物が存在しません。 需要が少ない、サポートができない、といった理由なのでしょうけど。

「ないものは自分で作る」のがこの世界。
オプションポート16の 詳しい資料は「ザウルス宝箱Pro」の「ザウルス技術情報(ハードウェ ア)」に「オプションポート16の端子配列、電気的仕様に関する情報」として掲載されているので、これに従えば、シリアル周辺機器をザウルスにつなぐため の「シリアルポート変換ケーブル」を作ることも夢ではありません。

なお、筆者がシリアルポート変換ケーブルを作る目的は、

の2つであります。

配線の考察

まずは、パソコンのシリアルポートと、ザウルスのオプションポート16との ピン対応を見てみましょう。 オプションポート16のピン配置は、 「ザウルス宝箱Pro」の「ハードウェア技術情報」から入手できます。

【表1:PCのシリアルポートとオプションポート16のピンアサイン】
PC OP16 信号名 機能
1 9 CD キャリア信号検知
2 4 RD 受信データ
3 3 SD 送信データ
4 14 ER DTR:データ端末レディ
5 8 GND 信号グランド
6 7 DR DSR:データセットレディ
7 5 RS RTS:送信要求
8 6 CS CTS:送信可
9 10 CI ring信号検知

しっかりと全部の信号線が1対1対応しているのがわかります。 難しい変換とか考えなくていいのがいいですね。

実際の配線

さて、変換ケーブルを作るにあたり、 オプションポート16のオスコネクタが必要です。 これはホシデン製TCX3106というソケットなのですが、 簡単に入手できる物ではありません。 (ホシデンに注文すると、数百〜千個単位になるんでしょうねえ。)
やはり、手っ取り早いのは、手元にあるオプションポート16機器からコネクタを取り出すことです。 数ある所有オプションの中から、一番使っていなさそうな(持ってることすら忘れていた)「オプションポート16変換アダプタ」から剥ぎ取ることにしまし た。 このアダプタは、MI-100シリーズ用のACアダプタに付属していた物です。

オプションポート変換アダプタ
【図1:オプションポート変換アダプタ】

実際に配線を始めようとしたところで、困ったことになりました。 ホシデン製コネクタのピッチは0.8mmと非常に狭く、 全9本のラインを半田付けするというのは、筆者にはほぼ不可能です。 そこで、シリアルポートとしては完璧ではなくなりますが、 必要なラインだけに絞ることにしました。 この計画で必要なラインは以下の通りです。

結果として、表2のように6本のラインを使ったケーブルを作成しました。

【表2:実際に作ったケーブル】
PC OP16 信号名 機能
1 -- -- ---
2 4 RD 受信データ
3 3 SD 送信データ
4 14 ER DTR:データ端末レディ
5 8 GND 信号グランド
6 -- -- ---
7 5 RS RTS:送信要求
8 -- -- ---
9 10 CI ring信号検知

シリアルポート変換ケーブル
【図2:シリアルポート変換ケーブル】

SL-5000Dとの互換性

筆者は米国向けザウルス「SL-5000D」も持っています。 こちらには「SHARP I/O PORT」という名前で オプションポート16と全く同じコネクタが採用されています。 こちらの仕様も公開されているので、比較をして、 作成した変換ケーブルの互換性を検証してみます。

【表4:Sharp I/O Portとオプションポート16の比較】
OP16 SL-5000D MI-E1
信号名 機能 信号名 機能
1 PWR IN(+) 電源供給端子 +側 PowerIN(+) 電源供給端子 +側
2 PWR IN(+) 電源供給端子 +側 Reserve (基本的には使用しない)
3 SD 送信データ SD 送信データ
4 RD 受信データ RD 受信データ
5 RS 送信要求 RS 送信要求
6 CS 送信可 CS 送信可
7 DR データセットレディ DR データセットレディ
8 GND シグナルGND GND シグナルGNDド
9 USB D+ USBデータ プラス側(双方向) CD キャリア検出
10 WakeUp Sync signal CI 被呼応答
11 Vcc 外部への 3.3V 供給 Vcc 外部への 5V 供給
12 USB D- USBデータ マイナス側(双方向) NC 未使用
13 Reserve Reserve (GND) 基本的にはGND
14 ER データ端末レディ ER データ端末レディ
15 PWR GND 電源供給端子 -側 DETECT (基本的には使用しない)
16 PWR GND 電源供給端子 -側 PowerIN(-) 電源供給端子 -側

基本的には互換性がありますね。
GPSを接続するために必要な、CD, RD, GNDのラインはそのまま互換性があります。
しかし、ぱたぱたキーボードを使うために必要なCIが、 SL-5000DではWakeUpに使われています。 もし、このWakeUpシグナルをシステムで先にキャッチするようになっていたら、 ぱたぱたキーボードはSL-5000Dでは使えないことになりますね。 まあ、それはまた後ほど考えることにしましょう。


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