ぱたぱたキーボード

Palm Portalbe Keyboard

PalmなどのPDA用に作られた、折り畳み式のキーボードです。 開くと、そのキーサイズはA4型ノートパソコンと同じぐらいになって、 非常に入力がやりやすいのです。
MI-E1以降のザウルスにはキーボードが内蔵されているのですが、 ブラインドタッチをするにはちょっと小さいので、 落ち着いて入力作業をしたいときには、こういった大きいキーボードが欲しくなります。

Visor用のStoaway Keyboardをザウルスに接続する、 というプロジェクトをトラップさんが行われていたのですが、 最近になって、Palm V用のものを使う方法も解明されました。
筆者の手元にはPalm III用のキーボードがあるのですが、 Palm VとPalm IIIはコネクタの形こそ違う物の、配列などは一緒なので、 そのまま応用が利くと思われます。
物は試しということで、

配線の考察

まずはトラップさんの配線図を元に、配線を考えます。
Palm用キーボードとオプションポート16の配線図があるので、 これに自作したシリアル変換ポートのピンアサインを加えてみます。

【表1:キーボードとシリアルコネクタの配線】
KB信号名OP16信号名シリアルポート
2VCC14ER4
4RTS5RS7
7GPI110CI9
3RXD4RD2
10SG8GND5

5本のラインを直結するだけです。 これに加えて、RXDとSGの間に10Kの抵抗器を挟んでやる必要があります。

実装

シリアル変換ケーブルの作成に比べると、かなり簡単でした。
今回は動作確認が目的なので、キーボードに直接配線しました。

シリアルコネクタの中身
【図1:配線済みキーボード】

シリアルコネクタの中身
【図2:シリアルコネクタの中身】

抵抗器はシリアルコネクタ内部に収まっています。

動作確認

早速、MI-E1とつないでみましょう。

MI-E1との接続
【図3:MI-E1との接続】

まず、インクワープロを試してみました。 まるでノートパソコンで入力しているかのように、 すらすらと文字が入力できます。

次に拙作「ざうちゃっV Ver.1.5a」を試してみたところ、うまく動いてくれません。 キーを入力すると、キーパッドへ文字が入力されず、 文章作成エリアの方へ直接飛んでしまいます。そのため、英語しか入力できないという悲しい状態になってしまいます。

「ざうちゃっV」では動作はおかしいものの、キーボードの入力はできているようなので、 電子工作の点からはうまく動作している、と言えるでしょう。

ASCII配列向けの改造

公開されている「ぱたぱた」は日本で売られているキーボード向けに作られているので、 JIS配列になっています。そのため、手元のASCII配列のPalm Portable Keyboardでは、 いくつかの記号の配置が異なっています。
うれしいことに「ぱたぱた」はソースも公開されています。 その中のstoaway.cに書かれているキーテーブルを書き換えるだけで、 ASCII配列にも対応できます。 実際に変更が必要なのは、以下のキーです。

【表2:JIS配列とASCII配列で異なるキー】
JISASCII JISASCII JISASCII
2"2@ 6&6^ 7'7&
/^`~ -=-_ \|=+
8(8* 9)9( 0~0)
@`[{ [{]} ]}\|
:*'" ;+;: _?/?

今後の課題

今回は動作確認用のプロトタイプということで、 キーボードにケーブルを直接半田付けしてしまいました。 そのため、せっかくの折り畳み機能が使えなくなってしまいました。
そこで、 Midwest PCB Designs社 から発売されている、Palm用のコネクタ変換アダプタ「The Bridge」を使って、 取り外しができるようにしたいと考えています。 Palmでも同じキーボードをそのまま使いたいので。

MI-E1以外への応用

残念ながら、「ぱたぱた」はMI-E1以降のキーボード内蔵ザウルスでしか動きません。 これは、MI-E1より前の機種では、キー押下イベントがキーパッドで受信されないためです。
試しに「ぱたぱた」を横QVGAアプリに変更し、機種制限をなくした「ぱたぱたモドキ」を作ってみました。
MI-C1に「ぱたぱたモドキ」を導入し、キーボードをつないでみたところ、 キーボードからの入力が取得できていることが確認できました。 しかし、予想通り、キーパッドが入力を拾うことはありませんでした。

しかし、面白いことがわかりました。
「統合辞書」や「ざうちゃっ」などの「辞書張り込み」機能に対応しているMOREソフトの場合、 キー押下イベントを辞書張り込みイベントとして取得するようです。
動作確認のところでも書いたとおり、 「ざうちゃっV」や「統合辞書 for MI-E1」では、「ぱたぱた」が使えません。 どうやら、辞書張り込みがキー押下イベントよりも先に取得されているような様子です。

さて、今後、横型ザウルスへの応用ができるか、という問題ですが、 これにはまずFEPのような常駐アプリを作ってやる必要がありそうです。 ただ、日本語変換ルーチンというのはどうやって作ったらいいのか見当も付かないのですが。
また、FEPができた場合にも、辞書張り込み対応のアプリケーション以外では使えません。 ユーザーアプリはなんとか対応もできるでしょうが、 組み込み済みのPIMなどはちょっと難しいと思います。


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